長野地方裁判所 昭和59年(わ)124号 判決 1984年6月29日
裁判所書記官
近藤喜久郎
本店の所在地
長野県北佐久郡立科町大字宇山六二一番地
有限会社塩沢産業
(右代表者代表取締役塩澤義国)
本籍
長野県北佐久郡立科町大字宇山六二一番地
住居
右同
会社役員
塩澤義国
昭和一三年二月二〇日生
主文
被告人有限会社塩沢産業を罰金一二〇〇万円に、被告人塩澤義国を懲役一〇月にそれぞれ処する。
被告人塩澤義国に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人有限会社塩沢産業は、長野県北佐久郡立科町大字宇山六二一番地に本店を置き、生コンクリートの製造及び販売等を目的とする資本金三〇〇〇万円の法人であり、被告人塩澤義国は、右会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括掌理しているものであるが、被告人塩澤は、右被告会社の業務に関し、法人税を免れる目的で、仕入を架空に計上し、あるいは売上を除外する等の方法で簿外資金を蓄積するなどの不正の方法により所得を秘匿した上
第一 昭和五五年四月一日から昭和五六年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が九五二〇万五四六三円であったにもかかわらず、昭和五六年六月一日、同県佐久市大字岩村田字内西浦一二〇一番地の二所在の所轄佐久税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二八〇二万六五八円であり、これに対する法人税額が七七二万四九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、同会社の右事業年度の正規の法人税額三六四九万二一〇〇円と右申告税額との差額二八七六万七二〇〇円を逋脱し
第二 昭和五六年四月一日から昭和五七年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三九七九万三九一〇円であったにもかかわらず、昭和五七年五月三一日、前記佐久税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二一八四万一〇三八円であり、これに対する法人税額が六一五万八七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、同会社の右事業年度の正規の法人税額一五二三万三〇〇円と右申告税額との差額九〇七万一六〇〇円を逋脱し
たものである。
(証拠の標目)
一 被告人塩澤の当公判廷における供述
一 被告人塩澤の検察官に対する各供述調書(五通)
一 収税官吏の被告人塩澤に対する各質問てん末書(一三通)
一 被告人塩澤作成の各答申書(一三通)
一 依田茂(三通)、宮阪守、宮下宏、熊井袈裟男、中村清司、小平貞夫、田林義信、安香照雄の検察官に対する各供述調書
一 収税官吏の荻原えい子、五十嵐文雄、深井四郎、塩澤咲子、田中誠に対する各質問てん末書
一 収税官吏作成の各調査書(二〇通)
一 長野地方法務局登記官作成の登記簿謄本
一 佐久税務署長作成の各証明書(三通)
(法令の適用)
罰条
1 被告会社につき 法人税法一六四条一、二項、一五九条
2 被告人塩澤につき 法人税法一五九条
刑種の選択
被告人塩澤につき 懲役刑
併合罪加重
1 被告会社につき 刑法四五条前段、四八条二項
2 被告人塩澤につき 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情重い判示第一の罪の刑に加重)
執行猶予
被告人塩澤につき 刑法二五条一項
訴訟費用 刑事訴訟法一八一条一項但書
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 尾崎俊信)